格子扉こうしど)” の例文
御堂みどう格子扉こうしどへ、彼は顔をよせてみた。中は漆壺うるしつぼをのぞくようでなにも見えない。ガラリッと、彼の手から扉を引く音がひびくと、犬は、尾を振って、小次郎の足もとへおどって来た。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
丹左は先へ御堂の縁へ上がって、格子扉こうしどを押しあけ、そこから手招きをしたが朱実はためらって、彼の好意に従ったものか、ほかへ行って独りで寝場所をさがしたものか、迷っている様子に見える。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)