枯草かれぐさ)” の例文
ちよい/\枯草かれぐさをも食べなければならないが、枯草かれぐさの無い時には水だけでも辛抱出来るので、美味うまさうに舌打をして水を飲みはじめる。
小草おぐさ数本すほんに、その一本を伝わってさかしま這降はいおりる蟻に、去年の枯草かれぐさのこれがかたみとも見えるあくた一摘ひとつまみほど——これが其時の眼中の小天地さ。
西日が暖かに縁側にさして、狭い庭には大輪の菊が白く黄いろく咲いていた。畑も田ももうたいてい収穫がすんで、向こうのまばらな森の陰からは枯草かれぐさやすけむりがところどころにあがった。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)