板木師はんぎし)” の例文
一方の隣がもう珍らしいものになっている板木師はんぎしで、篆刻てんこくなんぞには手を出さぬ男だから、どちらも爺いさんの心の平和を破るようなおそれはない。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
二色摺紅絵の発明者と称せらるる西村重長の門人鈴木春信は石川豊信鳥居清満と相伍あいごして多年三色摺の経験を積みしが、明和二年に至り、板木師はんぎし金六きんろくなる者をして遂に見当摺けんとうずりと称して
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
あの鈴形すずなりに澄んだ目も、きりッとつぼんだ口元も、板木師はんぎしが一本一本毛彫けぼりにかけたような髪のえぎわも、ふるいつきたいえりあしの魅力も、小股こまたのきれ上がった肉づきも、おれの手にかかれば翌朝は
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)