その月の芝居では「松朝扇ときわのいろおうぎのうつし絵」という、大切おおぎり所作事しょさごとに出るだけで、前借りがたまっているため、給金も半分止めになっていたし、座敷の数も少なかった。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)