新字:松平春岳
所詮しょせん、徳川家も滅亡か、との松平春嶽まつだいらしゅんがくらの異見を待つまでもなく、天下公論の向かうところによっては少しの未練なく将軍職をなげ出そうとは
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
京都で策動していた越前の藩士橋本左内はしもとさないは、そのころ、江戸の松平春嶽まつだいらしゅんがくの屋敷内に住んでいた中根雪江なかねせっこうへ密書をおくつて、そのなかに、つぎのようなことを書いている。
こうした建白書を幕府政治総裁松平春嶽まつだいらしゅんがくに奉ったところから、新撰組の歴史は淵源するのだが、この建白にいう「非常の変」には、もうむろん外交上の意味ばかりでなく
新撰組 (新字新仮名) / 服部之総(著)
京都にあった松平春嶽まつだいらしゅんがくは、公武合体の成功もおぼつかないと断念してか、事多く志とたがうというふうで、政事総裁の職を辞して帰国したといい
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
吉左衛門親子には間接な主人ながらに縁故の深い尾張藩主(徳川慶勝よしかつ)をはじめ、一橋慶喜ひとつばしよしのぶ松平春嶽まつだいらしゅんがく山内容堂やまのうちようどう
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
かつて岩瀬肥後が井伊大老と争って、政治生涯しょうがいしてまで擁立しようとした一橋慶喜ひとつばしよしのぶは将軍の後見に、越前えちぜん藩主松平春嶽まつだいらしゅんがくは政事総裁の職にくようになった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
もともと徳川氏にとっては重要なあの政策を捨てるということが越前えちぜん松平春嶽まつだいらしゅんがくから持ち出された時に、幕府の諸有司の中には反対するものが多かったというが、一橋慶喜ひとつばしよしのぶは越前藩主の意見をいれ
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)