束子たわし)” の例文
ジノーヴィー・ボリースィチがおのれの寝間のゆかにのこしていった血のしみを、束子たわしにシャボンをつけて入念に洗いおとすのだった。
耳も鼻も頬も桃のように紅くした子供の群が、束子たわしでこするように、キュウキュウ厭な音をたてゝ、氷の上をすべっている。
放浪記(初出) (新字新仮名) / 林芙美子(著)
どっかへ石をぶっつけてやりたいな。耳も鼻も頬もあかくした子供の群れが、束子たわしでこするようにキュウキュウ厭な音をたてて、氷の上をすべっていた。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
私は泥棒猫のように台所から部屋へはいると、夫はいきなり束子たわしや茶碗を私の胸に投げつけて来た。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)