本曲輪ほんぐるわ)” の例文
千早の本曲輪ほんぐるわから金剛山の最頂上へ出るには、一たん道を下りて途中のせまい地頸部ちけいぶを越え、そしてまた嶮しい山坂を登りつめて行くのである。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
正成は、本曲輪ほんぐるわの荒壁仕切りの一つの内で、うとうと、横になっていたが、火箭の叫びに、眠れてはいなかった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
信長が本曲輪ほんぐるわの広庭を、大玄関のほうへ迂回うかいして来ると、中門あたりからその辺まで、埴輪はにわ土器のような泥にまみれた武将とその部下が、暁天の下に、白い息をひげに凍らせて、粛然しゅくぜんと整列していた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)