富士のお山のご神体木花咲耶姫このはなさくやひめにお縋りして、その灼然あらたかのお力で少しでも躰のよくなりますようにと、お百度を踏んでおりますので。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
妹姫、木花咲耶姫このはなさくやひめの名にし負う艶麗なるにひきかえて、極めて醜婦であった磐長姫——瓊々杵尊ににぎのみことから恋せられた妹姫の添え物として、父から贈られたこの醜女の磐長姫いわながひめ
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
また同じく国津神の大山祇神おおやまづみのかみは、娘の木花咲耶姫このはなさくやひめを尊の御妃おきさきとして奉ったのであります。
富士の山仕舞いの日に木花咲耶姫このはなさくやひめへお礼のために、家々の門口に、丈余の高さにまきを積み上げ、それに火を点じて、おのおの負けず劣らず火焔かえんの猛烈を競うのだそうであるが、私は
服装に就いて (新字新仮名) / 太宰治(著)
ねがはくは若き木花咲耶姫このはなさくやひめわが心をも花にしたまへ
註釈与謝野寛全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)