木端こっぱ)” の例文
小僧と同じように塩や、木端こっぱを得意先へ配って歩いた。岡持おかもちを肩へかけて、少しばかりの醤油しょうゆや酒をも持ち廻った。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
お絹は、慣れない手つきをして、炉のあたりにおびただしく積まれた木端こっぱや薪を取って火の中へくべました。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
波は、衝こうとしてつのを構える牡牛のように首を下げたまま、狂暴に渚をめがけて突進する。渚はずっと上のほうまで洗い尽されて、濡れ光る海草や貝殻や、打ち寄せられた木端こっぱなぞで蔽われている。
「板庇がこわれて、木端こっぱが路地に落ちているから、その見当に間違いはねえつもりだ。ところで、この小屋の庇から、隣の空家の屋根までは一間半はあるだろう、あれだけ無造作に飛付ける人間は、ここに幾人居るんだ」
うむ、土地のやつらあ俺をはばかって手が着けられねえのを、木端こっぱ役人め、出しゃばりやがったな、面白おもしれえ、どうするか見ていてやれ、百の野郎がなんとぬかすか聞きものだ