時雨堂しぐれどう)” の例文
虫の知らせか、弦之丞は、その時なんとなく、早く時雨堂しぐれどうへ帰らなければ、銀五郎や多市が、さだめし案じているだろうと思いだされてきた。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「では何か、二刻ふたときほどまえに、時雨堂しぐれどうへの道をきいて、関の山へ参ったのだな。よし。それでは、このまま帰るまい、払いは女中へ渡しておいたぞ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関の時雨堂しぐれどうから、ここへとらわれて来てより早百日、肩骨張って色青白く、めっきり痩せ衰えてみえるが、意気は軒昂けんこう
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その無沙汰も心苦しく思うておるが、時雨堂しぐれどうの騒ぎの後、半斎殿にもさだめし迷惑がかかったことであろう。あのじんは、その後もつつがなくお暮らしであるか。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大津時雨堂しぐれどうの夜が思いだされる。銀五郎は自分の望みが達しられた今日、うれしい手向たむけと聞くであろう。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつか大津の時雨堂しぐれどうもぐっていた虚無僧なんで
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)