時鐘ときがね)” の例文
葉子の心の周囲にそれまで響いていた音楽は、その瞬間ぱったり静まってしまって、耳の底がかーんとするほど空恐ろしい寂莫せきばくの中に、船のへさきのほうで氷をたたきるような寒い時鐘ときがねの音が聞こえた。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)