ぢつ)” の例文
なに俺は、側でぢつと居眠の練習さ。スルト沙漠先生、ヒヨロ/\と立つて、ガラス窓をあけたと思ひ給へ。丁度、昨夜は十五日だ、満月さ。
俺の記 (新字旧仮名) / 尾崎放哉(著)
『然うなすつた方が可いわ、小母さん。』と智惠子は俯向いたお利代の胸の邊をぢつみつめた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
そして再び机の前に坐ると、ぢつと洋燈の火を瞶めて、時々氣が附いた樣に長い睫毛を屡叩しばたいてゐた。隣室では新坊が眼を覺まして何かむづかつてゐたが、智惠子にはそれも聞えぬらしかつた。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)