昂奮たかぶ)” の例文
ザクザクと融けた雪が上面うはつつらだけ凍りかかつて、おびただしく歩き悪い街路を、野村は寒さも知らぬ如く、自暴やけ昂奮たかぶつた調子で歩き出した。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
その時ドアを叩く音がしたのでスパイダーは言葉を途切らせた。彼は坐勢いずまいを正し昂奮たかぶった神経を静めようとした。
赤い手 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
脈といふ脈を、アルコールが驅け𢌞つて、血の循環がたぎり立つ程早い。さらでだに苛立勝いらだちがちの心が、タスカローラの底の泥まで濁らせる樣な大時化しけを喰つて、唯モウ無暗に神經が昂奮たかぶつて居る。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
脈といふ脈を、アルコールが駆け廻つて、血の循環めぐりたぎり立つ程早い。さらでだに苛立勝いらだちがちの心が、タスカローラの底の泥まで濁らせる様な大時化おほしけを喰つて、唯モウ無暗に神経が昂奮たかぶつて居る。
病院の窓 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)