日向葵ひまわり)” の例文
漆の木、淡竹、虎杖いたどり、姫日向葵ひまわりの葉、そうした木草の枝葉が強い風に掻きまわされ、白い縄のような雨水に洗われて物凄かった。
変災序記 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あるいは庭に咲く日向葵ひまわり、日夜我らの親しむ親や子供の顔。あるいは我らが散歩の途上常に見慣れた景色。あるいは我々人間の持っているこの肉体。
院展遠望 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
この樹木の多い緑深い静かな町のとある垣根を越えた幾本かの日向葵ひまわりの花が、しずかに朝日をあびながらゆらりと揺れているのが、特に山の手の朝らしく目に触れた。
或る少女の死まで (新字新仮名) / 室生犀星(著)
陽ざかりの日向葵ひまわりの花のような、どこにもかげのない明るい顔だちは、以前とすこしも変わらないが、いったい、どんなお化粧の仕方をするのか、唇などはいかにも自然な色に塗られ
キャラコさん:06 ぬすびと (新字新仮名) / 久生十蘭(著)