斗酒としゅ)” の例文
いわゆる斗酒としゅなお辞せずという類の酒豪の逸話は、次第に昔話の領域に入って行こうとしている。もとは正月の街頭風景であった生酔いの礼者
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼女はその後、浮世を真っすぐに送る気をなくしてしまって、斗酒としゅをあおって席亭で小唄をうたいながら、いつまでも鏡を見てくらす生涯を送るようになった。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
十年前までの満鉄社員の中には、斗酒としゅなお辞せず口を開けば大陸政策を論ずる人が多かったそうである。
満洲通信 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
朝の空き腹に、斗酒としゅをいれて、張飛はすこし、眼のふちを赤黒く染めた。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)