政子まさこ)” の例文
舞殿ぶでん東側ひがしわきの一段高い席に、頼朝と政子まさこ居並いならんで彼女を見た。夫妻は、物珍しいものでも見るように、静のしとやかな礼儀を見まもっていた。
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
槿むくげの花の咲いている竹籬たけがきに沿うて左に曲がると、正面に釈迦堂がある。頼家の仏果ぶっか円満を願うがために、母政子まさこの尼が建立こんりゅうしたものであると云う。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
未亡人政子まさことその恋人たる文士緑川順が、他殺の嫌疑で拘引され、死骸の再鑑定をすることになったが、鑑定の結果、やはり自殺と決定されて二人は放免され
闘争 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
姉の政子まさこは別に何とも思はないやうに単純に言つた。
父親 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
「ほかでもないが、この四日、頼朝公には夫人おくがた政子まさこの方と御一緒に、鶴ヶ岡に御参詣がある——」
日本名婦伝:静御前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)