擦半すりばん)” の例文
ますます大火になると見えて、空が赤味を加えて来て、擦半すりばんの音や鐘の音が、いらだたしそうに聞こえて来た。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
擦半すりばんが鳴って寺の鐘が鳴って、火消しのはせて行く足の音なども、聞こえて来たことは来たけれども、この佐久間町の往来ばかりは、ただに寂しくて人通りもなかった。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
諸方で擦半すりばんや寺々の鐘が、いまだに鳴ってはいたけれど、この往来ばかりは静かなことよ! ——、少なくも美作にはめいりそうなほどにも身のまわりが静寂に思われているらしい。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)