撮出つまみだ)” の例文
「む、大納言殿御館おやかたでは、大刀だんびらを抜いた武士さむらいを、手弱女たおやめの手一つにて、黒髪一筋ひとすじ乱さずに、もみぢの廊下を毛虫の如く撮出つまみだす。」
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そばに居ちゃ、もうこっちが撮出つまみだされるまでも、横面よこつら一ツ打挫うちひしゃがなくッては、新橋へ帰られまい。が、私が取組合とっくみあった、となると、随分舞台から飛んで来かねない友だちが一人居るんだからね。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)