摺針峠すりばりとうげ)” の例文
すでに犬上郡へ入って、摺針峠すりばりとうげから不破にわたる山々の重畳ちょうじょうをまえにしていた主上、法皇、女院らの輿こしと輿廻りの人々は
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やがて渋いところでまんどころのお茶を一ぷくいただき、お茶うけには甘いところで摺針峠すりばりとうげのあんもち、多賀の糸切餅、草津のうばもち、これらをばお茶うけとしてよばれ候上は、右と左の分け使い
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それが山奥の伊勢ざかいまで聞えて、はやくも美濃近江の要路、摺針峠すりばりとうげから番場へかけ、こんな結集をみせたのは、どうもただの烏合うごうしゅうにしては出来すぎている。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輿こしは、摺針峠すりばりとうげの上で、あれから、一ト息入れてでもいたのだろうか、同勢、だいぶ遅れているらしい。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
具行の輿や道誉の人数が、摺針峠すりばりとうげへかかったのは、次の日だった。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)