揚底あげぞこ)” の例文
これは博多の神屋宗湛から借りた真壺まつぼだ。よく似せてあるが、呂宋ではない。真物ほんもの真壺まつぼは、もうすこし茶の色が深く、いちめんに鶉斑が出て、揚底あげぞこになっている。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
肩下のあたりに、蓮華の花びらが透しになって、その中に、あるかなしかというように「王」という字が見える。底を見ると、話に聞いたとおり高い揚底あげぞこで、底にくせの凹みがある。まさしくこれだ。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)