推古仏すいこぶつ)” の例文
ぞくに推古仏すいこぶつといって、今から千四、五百年まえにつくられた観音かんのんさまだ。銅でできているんだが、ごらん、このへんに、金がまだのこっている。
夜光人間 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
眼に触れる限りでは——高雅こうが雄麗な推古仏すいこぶつおろかなこと、唐土もろこし、朝鮮の古いのや、奈良、平安朝の芸術品、鎌倉期の雄健なものさえ一つなく、あるものは徳川期に入ってから
従って、これらの稚拙な埴輪人形を作っていた民族が、わずかに一、二世紀の後に、彫刻として全く段違いの推古仏すいこぶつを作り得るに至ったことは、私にはさほど不思議とは思えないのである。
人物埴輪の眼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
きみたちは知るまいが、あの仏像は推古仏すいこぶつといって、百万円の首飾りよりも、もっとねうちのある品物なんだよ。
透明怪人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「ぼくの友だちは、こんないたずらしませんよ。ねえ、パパ、あいつは、あの推古仏すいこぶつをねらってるんじゃないのかしら。書庫の中においてあるんでしょう。だいじょうぶなの。」
妖星人R (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)