排泄物はいせつぶつ)” の例文
それと同時に房内の一隅いちぐう排泄物はいせつぶつ醗酵はっこうしきって、えたような汗のにおいにまじり合ってムッとした悪臭を放つ時など、太田は時折封筒を張る作業の手をとどめ
(新字新仮名) / 島木健作(著)
彼は都市のきたない排泄物はいせつぶつの中につまずいた。風窓から時々さしてくる明るみは、長い間を置いてしか現われてこなかったし、太陽の光も月の光かと思われるほど弱々しかった。
そしてフンシの砂の中へ日に幾度か排泄物はいせつぶつを落すので、いつもその匂が四畳半の部屋の中へむうッと籠るようになったが、彼女はそれを嗅いでいると、いろいろな記憶が思いがけなくよみがえって
猫と庄造と二人のおんな (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
沓野くつのの百姓に葡萄酒ぶどうしゅを造らせてみたり、温泉場の排泄物はいせつぶつから、なんとかいう西洋薬をとる試験をしてみたり、また、この近郷の山に檜の苗を植えるといって、あまり百姓を加役に引っぱり出したため
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかなる海鳥糞かいちょうふんも、その肥沃ひよくさにおいては都市の残滓ざんさいに比すべくもない。大都市は排泄物はいせつぶつを作るに最も偉大なものである。都市を用いて平野をこやすならば、確かに成功をもたらすだろう。