挺身隊ていしんたい)” の例文
彼はそばにいる、この優雅な少女が、戦時中、十文字にたすきをかけて挺身隊ていしんたいにいたということを、きいただけでも何か痛々しい感じがした。
永遠のみどり (新字新仮名) / 原民喜(著)
むす子は若いいのちの遣瀬やるせない愛着を新興芸術に持ち、新興芸術を通して、それをつちかう巴里の土地に親しんだむす子は、東洋の芸術家の挺身隊ていしんたいを一人で引受けたような決心の意気に燃えて
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そこにも女子挺身隊ていしんたいの集団が住んでいて
白痴 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
しばらく滞在していた義姉が神戸の家に帰ることになった。義姉の家には挺身隊ていしんたいの無理から肺を犯されて寝ている娘がいた。そのめいのために彼は妻のかたみの着物を譲ることにした。
死のなかの風景 (新字新仮名) / 原民喜(著)
おまえは、うちの家族のことを芸術の挺身隊ていしんたいと言ったが、今こそ首肯しゅこうする。
巴里のむす子へ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)