挨拶振あいさつぶ)” の例文
けれども、その挨拶振あいさつぶりは義理か、通り一遍のものだった。どの店の人間も彼の当身あてみの多い講釈には参らされていた。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
一別いちべつ以来の挨拶振あいさつぶりも、前年の悪感情を抱きたる様子なく、今度浅草鳥越あさくさとりごえにおいて興業することに決し、御覧の如く一座の者と共に広告に奔走ほんそうせるなり
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「ああ、そうですか、わたしが白井道也で……」とつくろった景色けしきもなく云う。高柳君にはこの挨拶振あいさつぶりが気に入った。両人はしばらくの間黙って控えている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)