抜荷ぬけに)” の例文
旧字:拔荷
彼は抜荷ぬけに買いというもので、夜陰やいんに船を沖へ乗り出して外国船と密貿易をするのであった。密貿易は厳禁で、この時代には海賊と呼ばれていた。
心中浪華の春雨 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そこで百石積の玄海丸という抜荷ぬけに専門の帆前船を探し出して顔なじみの船頭に酒手を遣り、水揚人足に命じて車の上の荷物を全部積込ませると
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「俺の見当では、たぶん抜荷ぬけにを扱っていたのだと思う、——抜荷というと何でもないようだが、こいつは大変な御法度ごはっとで、露顕すると獄門にも磔刑はりつけにもなる」
陸路から伊万里いまり嬉野うれしのを抜ける山道づたいに辛苦艱難をして長崎に這入ると、すぐに仲間の抜荷ぬけに買を呼集め、それからそれへと右から左に荷をさばかせて、忽ちのうちに儲けた数万両を
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
千六は長崎へ着くと直ぐに抜荷ぬけにを買いはじめた。
名娼満月 (新字新仮名) / 夢野久作(著)