打撲傷だぼくしょう)” の例文
お延の自分に対する信用を、女に大切なその一角いっかくにおいて突きくずすのは、自分で自分に打撲傷だぼくしょうを与えるようなものであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そのかすり傷をもふくめて足にうけた打撲傷だぼくしょうが兵六さんをうならせ、のろのろさせているというわけだ。その怪我を彼はわが家の近くでしたのである。
雑居家族 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ただし三人の住所は近所ではなくバラバラであった。第三に三人の屍体は同様の打撲傷だぼくしょう擦過傷さっかしょうおおわれていたが、別にピストルを射ちこんだ跡もなければ、刃物はものえぐった様子もない。
地獄街道 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いかさま全身数カ所に何かの打撲傷だぼくしょうらしい疵をうけて、血まみれ姿に喘ぎ喘ぎ退屈男の顔を見眺めていましたが、それあるゆえにある時は剣客をも縮み上がらす威嚇となり、それゆえにある時はまた