手間暇てまひま)” の例文
「そんな手間暇てまひまは無駄事ときまッてらあ、訴えの筋が通ったり、ちゃんと、おきてが立つようなお上なら、天下に謀反むほんのおきる道理はねえ!」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白雲が最初、七兵衛おやじの影を捕えるのはかなり難儀であろうが、ウスノロの方は存外手間暇てまひまがかかるまいと安く見ていたのが的中しました。
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
それを現すには、形が小さくて、手間暇てまひまのいらない歌が一番便利なのだ。実際便利だからね。歌という詩形を持ってるということは、我々日本人の少ししか持たない幸福のうちの一つだよ。
電話を切ると、明智はソワソワと出発の支度したくを始めた。支度といっても、トランク一つの旅だ、手間暇てまひまはかからぬ。寝間着ねまきと汚れたシャツ類を、トランクに詰め込んで、勘定かんじょうを支払えばよいのだ。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「承知いたしました。……が、事洩こともれては仕損じます。黄昏たそがれを待って、疾風のごとく襲いましょう。名主のちょうさえ召捕れば、あとの六名に、さして手間暇てまひまはいりません」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「そんな手間暇てまひまがいるもんか。ここの烏も畑荒らしの一族だ。こうしてやる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)