手炙てあぶ)” の例文
現に翌年の正月には、年始に来た三男と激論の末、手炙てあぶりを投げつけた事さへあつた。三男はその時帰つたぎり、兄の死に目にも会はずにしまつた。
(新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お絹は手炙てあぶりに煙草火をいけて、白檀びゃくだんべながら、奥の室の庭向きのところへ座蒲団を直して
挿話 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
「小崎さん今日は見えませんでしたね。」と小原は叔母が火を入れて出す手炙てあぶりの側へ、お庄が奥から持って来た座蒲団を敷いて、小綺麗な指頭ゆびさきで両切りの短く切ったのを
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
手炙てあぶり、卓、茶棚ちゃだななどくわきりされた凝った好みの道具がそこにぎっしり詰まっていた。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)