戸隠山とがくしやま)” の例文
信州といえば、戸隠山とがくしやまの鬼女を想像させるが、彼女はそのやつれた顔に一種の気品を具えていた。その物云いや行儀も正しかった。
半七捕物帳:58 菊人形の昔 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
信州戸隠山とがくしやまの奥の院というのは普通の人の登れっこない難所だのに、それを盲目めくら天辺てっぺんまで登ったから驚ろいたなどという。
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
天手力男命あめのたぢからおのみことが、引き明けた岩戸を取って投げたのが、虚空はるかにけし飛んでそれが現在の戸隠山とがくしやまになったという話も
神話と地球物理学 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
飯綱いづなの法というといよいよ魔法の本統大系ほんとうだいけいのように人に思われている。飯綱は元来山の名で、信州の北部、長野の北方、戸隠山とがくしやまにつづいている相当の高山である。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
俗に紺色は蛇がけるからといいます。戸隠山とがくしやまの篠竹細工も数え挙げねばなりません。手提籠てさげかごによい考案のを見かけます。また信州は山国のこととて大きな捏鉢こねばちも作ります。
手仕事の日本 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)