我善坊がぜんぼう)” の例文
「そのくらいのことは、わしも存じておるが、法をもってすれば、飲めんことはない。後はわしが引きうけたから、我善坊がぜんぼうの泥鰌屋へ行こう」
いや、ようよう、我善坊がぜんぼうの伯父御隈井九郎右衛門殿から五十両立て換えてもらって、おれもこれでほっといたした。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
ふたりは、肩をならべて、我善坊がぜんぼうくぼから市兵衛町いちべえちょうへ出て、だらだらと霊南坂を降りて来た。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
継承した東京市中各処の地名には少しく低い土地には千仭せんじんの幽谷を見るように地獄谷じごくだに(麹町にあり)千日谷せんにちだに(四谷鮫ヶ橋にあり)我善坊がぜんぼうだに(麻布にあり)なぞいう名がつけられ
小謡こうたを口に小名木川の橋を過ぎながら、ふと思いついたのが麻布あざぶ我善坊がぜんぼうの伯父隈井九郎右衛門くまいくろうえもんのこと。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
まったく我善坊がぜんぼう伯父御おじごと来ちゃア食えない爺いだからなア……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)