成田屋なりたや)” の例文
かわりめ毎に覗き覗きした芝居も、成田屋なりたやや五代目がなくなってからは、行く張合はりあいがなくなったのであろう。
老年 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
へい、成田屋なりたやのこんくわゐでござります。「ナニこんくわゐはありがてえ、シテしたのはなんだね。「へいしたのはいもせやま橘姫たちばなひめで、きぬかつぎといふいもでございます。 ...
狂言の買冠 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
もし人がその七代目団十郎だんじゅうろう贔屓ひいきにするのを知っていて、成田屋なりたやと声を掛けると、枳園は立ち止まって見えをしたそうである。そして当時の枳園はもう四十男であった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
故人成田屋なりたやが今の幸四郎こうしろう、当時の染五郎そめごろうを連れて釣に出た時、芸道舞台上では指図を仰いでも、勝手にしなせいと突放つっぱなして教えてくれなかったくせに、舟では染五郎の座りようをとがめて
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)