憫殺びんさつ)” の例文
佐助はこの事が春琴に知れたら定めし機嫌を損ずるであろうただ与えられた手曳きの役をしていればよいのに丁稚の分際ぶんざいで生意気な真似まねをすると憫殺びんさつされるか嘲笑ちょうしょうされるか
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
真に蒙昧もうまい愚劣、憫殺びんさつすべきの徒輩であるが、ただ彼等の中にあって一奇とすべきは、巨頭の斎藤茂吉である。彼は医者の有する職業的の残酷さと唯物観とで、自然を意地悪くゆがんで見ている。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)