慰斗のし)” の例文
「お前は、馬鹿ぞな。こがいな棚ボタばなしが、世界のどこにあるもんか。わたしがお前なら、慰斗のしをくわえて、飛んで行くが」
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
夏目漱石を博士呼ばはりをすると、博士号なぞ慰斗のしつきの儘送り返したのだと言つて、胃病患者につき物の苦い顔をするかも知れないが、まあさ、辛抱して貰ひたい。
金五郎は、そういって、君香から、「御見舞」と、表に、太く墨書された、部厚な慰斗のし袋を受けとった。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
水引みずひき慰斗のしとをかけた桶の中には、青笹を蒲団に、巨大な赤鯛が二尾、イセエビが一匹、鯛の肌のうえには、「祝儀」の二字を太い筆でかいた奉書包み、それには
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)