慈姑頭くわいあたま)” の例文
それはトニカクとして、この機会に道庵は酬恩庵をおとずれて、古蹟をたずね、筆蹟を見て、しきりに慈姑頭くわいあたまを振り立てました。
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とびがたかを産んだという話はきくが、おやじの三庵はあのとおりおでこの慈姑頭くわいあたま、おふくろさんは四角い顔の寸づまり、あんな似たところのねえ親子なんてものはありゃしねえ。不審はそれだ。
道庵の慈姑頭くわいあたまで出て来たが、信州へ入ってから急に気が強くなって、武者修行に出で立つべく、総髪を撫下なでさげにした間はまだよろしいが、松本へ来て、川中島の農民が
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
舌の先で遠廻しにあやつって、この道庵の慈姑頭くわいあたまから絞り出そうという知恵は、つまり子をおろす方法と、それから子種を流すにいい薬でもあったら、それをたぐり出そうとこういう策略なんだ
大菩薩峠:36 新月の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
米友を口説くどき落したつもりの道庵は、いよいよ有頂天うちょうてんで、多年の慈姑頭くわいあたまをほごして、それを仔細らしく左右に押分け、鏡に向ってしきりに撫でつけているところは、正気しょうき沙汰さたとも見えません。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)