愉楽ゆらく)” の例文
旧字:愉樂
古典を楽しむことは、いつ、いかなる世界においても、人間に与えられた、きわめて健康な特権的愉楽ゆらくであると言ってよい。
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
そうして裏町の隅々まで、この正月には飢えている顔はない、と想像することも、信長にとってはやはり一つの愉楽ゆらくだった、自己の正月を大らかにするものだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
楽しい自身の愉楽ゆらくに耽つてゐる。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
浪華なにわの地をきりひらいて、大坂築城の大工事にかからせ、その規模、その結構の雄大なること、前古にないと、天下の耳目じもくをおどろかせているものの、かれ自身の、人間的な愉楽ゆらく
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
嗚呼ああ愉楽ゆらく朱塗しゆぬりたる
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
どの坊主の目もみな巧雲の乳だの小股こまたのあたりを愉楽ゆらく想像しているらしい。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)