悚気ぞっ)” の例文
女房おかみさん、桑名じゃあ……芸者の箱屋は按摩かい。」と悚気ぞっとしたように肩を細く、この時やっと居直って、女房を見た、色が悪い。
歌行灯 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
嘉吉とかを聞くにつけても、よく気が違わずに済んだ事、とお話中に悚気ぞっとしたよ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……で悚気ぞっとしたが、じっると、鼠か、溝鼠どぶねずみか、降る雨に、あくどく濡れてっている。……時も時だし、や、小さな狢が天井へ、とうっかり饒舌しゃべって、きれいな鳥を蓮池へ飛ばしたのであった。
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)