思想かんがへ)” の例文
畢竟つまり一緒に事業しごとが出来ないといふは、時代が違ふからでせうか——新しい時代の人と、吾儕われ/\とは、其様そんな思想かんがへが合はないものなんでせうか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『私だつて然う思ふわ、小母さん、真箇ほんとに……。』と言ひかけたが、何かしら不図胸の中に頭を擡げた思想かんがへがあつて言葉は途断れた。『神様の思召よ。人間ひとの勝手にはならないんですわね。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
思想かんがへに刺激されて、寝床に入つてからも丑松は眠らなかつた。目を開いて、頭を枕につけて、種々さま/″\に自分の一生を考へた。鼠が復た顕れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さしかゝつた斯の大きな問題を何とか為なければ——左様さうだ、何とか思想かんがへを纏めなければ、一切の他の事は手にも着かないやうに思はれた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)