御輦ぎょれん)” の例文
彼の献扇は、まったく第一のお車を御先乗おさきのりと心得たことであって、御輦ぎょれんに触れ奉ろうとは思いもかけなかったという。あとになってそれを知った時は実に彼も恐縮した。彼の述懐はそこから始まる。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
あの行幸の当日、彼のささげた扇子があやまって御輦ぎょれんに触れたとは、なんとしても恐縮するほかはない。慕い奉る帝の御道筋をさまたげたことに対しても、彼は甘んじてその罰を受けねばならない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)