御器所ごきそ)” の例文
三弥、紋右衛門を先頭に、城中からの捜索隊御器所ごきそ口の方へ走って行く。障害のない平坦な間道、すぐにも御器所口に着くだろう。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
幾日かの後、文学士戸針康雄の御器所ごきその住宅は、新たに一人の同棲者を得た。それは言うまでもなく篠田歌代であった。
好色破邪顕正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
自分が木下弥右衛門へとつごうとした頃は、良人を選ぶなら侍と思ったものであった。自分が生れた御器所ごきその家も、小さいながら武家だったし、木下弥右衛門も足軽ながら織田信秀の家中だった。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
浜路を乗せたトヤ駕籠一丁、御器所ごきその方へ走って行く。昼も暗い御器所の森、そこに立っている大杉の木、そこへは駕籠は着かなかった。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
一人の年若い女が御器所ごきその方から跣足はだしで歩いて来るのを、巡邏中の警官が見つけて、ひそかにあとをつけて行くと、女は中央線の高架線路の小針こばりの踏切りを上りかけたそうです。
好色破邪顕正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「えッ、中村。じゃあそう遠くもない。おらは丹羽にわ御器所ごきその生れだ」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すぐにも兵を繰り出して、太郎丸とかいう悪党の、御器所ごきその屋敷を攻めましょうよ。……それにどんなに乱暴者でも、白昼まっぴるま攻めては参りますまい。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
尾張御器所ごきその人、堀尾吉久の子で、幼名仁王丸におうまる、のち小太郎といい、結髪して茂助と改む——というから、或いは、瑞龍山ずいりゅうざんの山家に土民となっていた頃は、まだ小太郎と称していたかもわからない。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
御器所ごきその妹の——許婚いいなずけじゃがの」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)