御吹聴ごふいちょう)” の例文
御吹聴ごふいちょう鴫焼しぎやきで一杯つけな。これからゆっくり話すんだ。山沢、野菜は食わしたいぜ、そりゃ、うまいぞ。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その末段に道楽的職業というような一種の変体のある事を御吹聴ごふいちょうに及んで私などの職業がどの点まで職業でどの点までが道楽であるかを諸君に大体理会りかいせしめたつもりであります。
道楽と職業 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それは追ってとくと考えた上、猫の脳裏のうりを残りなく解剖し得た時改めて御吹聴ごふいちょうつかまつろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
不取締でございますから、旦那に申訳がないとのことで大層御心配、お見舞に伺いまする出入のものに、わずかばかりだけれども纔ばかりだけれどもと念をお入れなすっちゃあ、その御吹聴ごふいちょうで。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
自然主義に道義の分子があるという事はあまり人の口にしないところですからわざわざ長々と弁じました。もっともただ新らしい私の考だから御吹聴ごふいちょうをするという次第ではありません。
文芸と道徳 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
前口上を長々述べ立てた後でこのくらいの定義を御吹聴ごふいちょうに及んだだけではあまり人を馬鹿にしているようですが、まあそこから定めてかからないと曖昧あいまいになるから、実はやむをえないのです。
現代日本の開化 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)