御前方おまえがた)” の例文
その馬鹿がこの騒ぎを見て御前方おまえがたは何でそんなに騒ぐんだ、何年かかっても地蔵一つ動かす事が出来ないのか、可哀想かわいそうなものだ、と云ったそうですって——
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ちょうにいて贅沢ぜいたくをした御前方おまえがたには珍しくもあるまいが、この頃は諸事御倹約の世の中、衣類から食物たべものまで無益な手数をかけたものは一切いっさい御禁止というきびしいおふれだから
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)