御主おぬし)” の例文
「これは滅相な。御主おぬし父親てておやが気を失ったのは、この摩利信乃法師まりしのほうしがなせるわざではないぞ。さればわしをくるしめたとて、父親が生きて返ろう次第はない。」
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
さても御主おぬしは、聞分けのよい、年には増した利発な子じゃ。そう温和おとなしくしてれば、諸天童子も御主にめでて、ほどなくそこな父親てておや正気しょうきに還して下されよう。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
してる訳にも行くまい。御主おぬしの申す事は、何やら謎めいた所があって、わしのような年寄りには、十分にし兼ねるが、一体御主はあの摩利信乃法師をどうしようと云う心算つもりなのじゃ。
邪宗門 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)