得知えし)” の例文
一点のけつ、一寸の曇りもなければ不安の揺ぎもない。真に凡庸ぼんようのありふれた達人使い手のたぐいではない——と心ひそかに重蔵は得知えしらぬ渇仰かつごうたれたのであった。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なァンのぬし、年齢としばかりおッとって——、昨年なァ得知えしれンこつば仕出来しできゃァたもンだけん……」
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
俊基は、得知えしれぬ物に腰をおろした。こうなっては、運を天にまかせているしかないと思う。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)