徒歩ひろい)” の例文
「されば、ひとりだに、退屈しているものはございません。……が、君には、ただおひとりで、何しにお徒歩ひろいでございますか」
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八町畷はっちょうなわてすなぽこりでお徒歩ひろいになりますより、矢張やっぱり船を待たして置いてお乗りになれば、この風ですから、帆も利きます、訳無く行ってしまいますよ
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
帝以下、お徒歩ひろいで、磯の船泊りへ向われた。そしていよいよ御船へ移ったが、ここに一つの挿話がある。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それに、御車は捨ててもうないので、帝は裸足はだしのままお歩きになるしかなかった。馴れないお徒歩ひろいなので、たちまち足の皮膚はやぶれて血をにじませ、見るだに傷々いたいたしいお姿である。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ところで切支丹屋敷のお嬢さん。折入って、あなたにお話があるんですが、ちょっと私と一緒にその辺までお徒歩ひろいなすって下さいませんか。……なあに、お話すればすぐわかることで」
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)