店屋物てんやもの)” の例文
煮売屋にうりやすなわち飲食店の出現はその一つである。いわゆる店屋物てんやものの主たるものは餅と団子、一方にはまた粗末ながら酒のさかなであった。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「あつしは裸馬はだかうまで、何處へ轉がしたつて怪我はしません。それに小夜菊は、あつしに店屋物てんやもの一つ取らせないやうに、それは/\氣をくばりますよ」
いくら新宿をそばに控えているからといって、今どきの場末の稽古師匠が毎日店屋物てんやものを取ったり、刺身を食ったり、そんなに贅沢ができる筈がねえ。
半七捕物帳:08 帯取りの池 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
店屋物てんやものくふ供の手がはり 来
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
早くて一と月先、遲くなれば來月の末だとよ、その間俺の叔母は、此處へ留守番に泊り込みだから、叔母の家に厄介になつて居る俺は、日に三度店屋物てんやもの
下女が房州へ歸つてゐると言ふから、昨夜ゆうべあたりは店屋物てんやものを取つてゐるに違げえねえ。
下女が房州へ帰っているというから、昨夜あたりは店屋物てんやものを取っているにちげえねえ。
「まア、そん事で、尤も、日に三度店屋物てんやものを取つちや、あつしの身上が保たねえ」
ばなしをしたり、まりをついたり、草双紙くさざうしを讀んだり、綾取りをしたり、雨降り續きでお客がないから、何しろ退屈でせう、——頬つぺたを嘗められたのはおまけですが、三度々々が店屋物てんやもの