広間ザール)” の例文
旧字:廣間
外套ぬぎ場があっちとこっちの端にある大きい広間ザールは人で一杯だ。さっぱりしたオカッパの頸へ赤い襟飾をかけたピオニェール少女。
三月八日は女の日だ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
ルイコフの名によるクラブの広間ザールの壇上装飾は、聖書、十字架、僧冠などの赤い色電気により焚刑ふんけいの光景だ。
モスクワ印象記 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
広間ザールへ溢れ出して来た人々をみれば、誰も彼もついこの近所のものらしく、どの顔もとりたてて陽気にはしゃいでいるとは云えないが、おだやかな満足をあらわしている。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
すりへって中凹になった白い石の階段をのぼりきったとっつきにガラスばりのボックスがあって、そこで切符を買い、広間ザールでは、五人の若くない楽手たちがモツァルトの室内楽を演奏していた。
道標 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)