幽冥界ゆうめいかい)” の例文
それにまた幽霊は、幽冥界ゆうめいかいを訪れてから、おどろくほど様子が立派になった。彼の服装はきらびやかで、男らしい均斉のとれた高貴なすがたをひきたてていた。
どこからともなく聞えて来る幽冥界ゆうめいかいの声を聞く時、或は朦朧もうろうと現われきたるエクト・プラスムのこの世のものならぬ放射光を目にする時、人は名状し難き歓喜を味うのだ。
悪霊 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
知っている人も多いと思うが、大正十四年の四月に、周防宮市すおうみやいち天行居てんこうきょから刊行した『幽冥界ゆうめいかい研究資料』と題する一書は、この類の珍本のいくつかを合わせて覆刻ふっこくしている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
考えると何でもその時は死神しにがみに取り着かれたんだね。ゼームスなどに云わせると副意識下の幽冥界ゆうめいかいと僕が存在している現実界が一種の因果法によって互に感応かんのうしたんだろう。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
この狂的接吻には、一同少からず辟易へきえき。しかし、土人達は皆パータリセの譫言うわごとを信じているのだ。パータリセの家の死んだ一族が多勢、森の中から寝室へ来て、少年を幽冥界ゆうめいかいへ呼んだのだと。
光と風と夢 (新字新仮名) / 中島敦(著)