平左へいざ)” の例文
下手な内科や外科にも劣る。あとは治癒なおればお医者の手柄で。死ねば運じゃと済ましたもんだよ。アハハのエヘヘの平気の平左へいざじゃ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
しかし博士は、ミチ子がなにをおもおうと平気の平左へいざで、なにかさかんに口のなかでぶつぶついいながら、艦内をあるきまわっていました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして彼は子供だの孫だのの二人三人はどうなろうと平気の平左へいざの人であった。律義者で、温和な考えの人だ。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
人の心は、思うままにならないもので、お藤がこんなに想っているのに、左膳のほうでは、平気へいき平左へいざです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「あら、まるっきり平左へいざじゃないの」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
天地が引っくり返っても平気の平左へいざと思われたその大胆不敵な、浅黒い顔色が、みるみる真赤になり、又たちまち真青に変化した。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
女房の義務など考えていないから、亭主へのサービスなどは思ったこともなく、したがって、亭主が何をしても平気の平左へいざという様子、これが一馬には物足りない。
不連続殺人事件 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
私の場合は、そういった避雷装置が完全に出来ていたので、櫓の上の四尺四方ほどの板敷の上に、平気の平左へいざで雨に打たれていたというわけなんですよ。これで万事お分りでしょうネ
(新字新仮名) / 海野十三(著)