幅利はばき)” の例文
据えて動かなかったればこそ、お得意が固定して、もう押しも押されもしません。これでも組合へ行けば、幅利はばききの方ですよ。旦那も一つ腰を据えて、動かないで下さい
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
政友本党では幅利はばききの吉植庄一郎しょういちろう氏の令息で、法学士で、政治ぎらいの、印旛沼は出津でづの開墾家の、お人よしの、どこか抜けている坊さん風の、歌人の、わが友庄亮が頭を叩いて
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
梅にはチと気の毒ではあるが、何せよ今ま海軍部内では第一の幅利はばきき、愈々露西亜ロシヤとの戦争でもあれば少将か中将にもならうと云ふ勢、梅の良人をつととして決して不足が有るとは思はれぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
見るとそれは、棟梁仲間とうりょうなかまのうちでも、最も古手で幅利はばききな——そしてきのうから変った新奉行の藤吉郎に対しては、誰よりも露骨に、反抗を示していたあばた顔の大工の棟梁であった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)