帰雁きがん)” の例文
と、守人は、すでに幾人いくたりかの生血を知っている水心子正秀すいしんしまさひでの作、帰雁きがんの一刀を腰にぶち込んで、忍びやかに方来居を立ちいでようとした。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
が、帰雁きがんはいかにも無理じゃ。おれは余り可笑おかしかったから、次の日山へ行った帰りに、椿の葉を何枚も拾って来てやった。その葉の虫食いを続けて読めば、帰雁二どころのさわぎではない。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
近づくにしたがい咲く花のつぼみも大きくふくらんでくるのを見ては、春の花のすべてを見ずに行くことが心残りに思われ、帰雁きがんのようにかすみの山を捨てて行く先は、自身の家でもないことが不安で
源氏物語:50 早蕨 (新字新仮名) / 紫式部(著)
それが一つには帰雁きがんとあり、一つには二とあったそうじゃ。合せて読めば帰雁二きがんにとなる、——こんな事が嬉しいのか、康頼は翌日得々とくとくと、おれにもその葉を見せなぞした。成程二とは読めぬでもない。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)